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【今日】【裏】【休み】

遅刻は22時までしか認められてないから今日はヴァナはお休み。
なんで急遽続きうp。


直せば直すほど長くなるのは仕様ですorz










海の碧色が視界に入るのが,暑さを幾分和らげていたのに。真っ黒に染まったかと思う間もなく,大粒の雨が降ってきた。
今の時期に相応しく叩き付けるような土砂降りで,直ぐに止むだろうとは思うが,水煙に霞む視界が探索の邪魔をする。
展望台からそれらしい建物を探そうかと思ったが,この雨が止むまでは無理だろうな



展望台を望む坂の下,水没しそうな通路を避けて,民家の軒先へと駆け込む。
そもそも車に常備してある傘を忘れる辺り,SeeD司令官とは思えない失態だ
我知らず大きな溜息を吐くと,小気味よいベルの音と共に,民家だとばかり思っていた扉が開いた。


「よろしかったら,雨が止むまで中に入られませんか?」

エプロンを着けた,15~16歳の女子が,俺を見上げていた。

「開店前で,まだ色々と準備中なんですけど」



先を急ぐからと辞そうとして,彼女の奥に,ガラスケースがあるのに気づいた。
外からは判らなかったが,店の雰囲気からして,もしかしたら

「ここ,洋菓子店なのか?」
「はい。外見が民家みたいなんで,ていうか民家を改造して建てたんですけど。
 元の姿を残し過ぎちゃったのか,あんまり気づいて貰えないんですよね」

店長らしき,眼鏡をかけた男が答える。その隣で,接客業には難がありそうな程愛想のない男が,黙々とケーキの陳列を始めた。
商品が並べば,見紛うことない洋菓子店だ。
同僚の愛想無さを補って余るほどの笑顔で,先程の店員がタオルを差し出してくる。

「はい,どうぞお使い下さい」

綺麗に掃除が済んでいる店内を濡らすのも気が引けたので,好意に甘えることにした。
ケーキを並び終えた店員は,見本らしき写真の入った額を壁へと掛けていく。
最後の額と共に,その手にガラスケースを持った。


「…っ!」

息を呑んだ俺に,気付いた彼が無愛想に問いかける。

「あんた,スコールさん?」

「え!?スコールさん!?」
「甘い物がちょー苦手だけどケーキは頑張って食べてくれるって言う,あのスコールさん!?」
「それじゃリノアさんを
『市販のレシピじゃ食べてくれるけど拷問になってたに違いないのに,それをおくびにも出さないから
気付かずに何度も食べさせちゃってた!嫌われてたらどうしようっ!!』
って嘆かせてた,あのスコールさん!?」
「お陰でアタシたち何度もフォローさせられてたんですよ!知ってますか,スコールさん!?」
「…悪かったな。それで,そのケーキは」
「良く出来てるだろう?我ながら会心の作だ」

ガラスケースの中に綺麗にディスプレイされた,リノアの作った紙製のケーキ。
黄色の半月レモンを挟んだ楕円柱のスポンジを白い紙の生クリームが覆い,周囲は薄白の紙でできた花が飾る。
ケーキの上には,色紙で作られた果物。グレープフルーツ,イチゴ,キウイ,白桃,…
俺の部屋で見た時には半月状だったメロンはウサギの耳を持ち,ネコ耳のオレンジやネズミ耳のリンゴと一緒に並べられていた。
昨日は職人のアレンジかと思ったが,オリジナルのフルーツが耳を持っていたのか。
そして,あの時にはなかった,チョコレート色の厚紙でできたプレートに,紙を切り貼りした文字が描いてある。



Happy Birthday Squall!



その言葉を告げられた時の,リノアの声と甘い笑顔,甘くはなかったケーキの味が浮かぶ。
次いで甘かったキスの味と,その後の……味も。

無表情を貫けなくなりそうだった俺に気付いているのかいないのか,店長と店員は嬉しそうにケーキの解説をしていた。



「この見かけで“甘くないけど美味しい”のを作るの,大変だったんですよ」
「実は,一番彼が苦労してたのが,この字を再現することでね」
「女のアタシが描いた方が,彼女の字に似るかもって言ってるのに。結局チョコ細工で作ったんですよね」
「あんたら,余計な事は言うな。で,スコールさん」
「…なんだ?」
「コレを探してたんだろう。さっきから,この店の前を行ったり来たりして」



俺が声を発する前に,店員が問いかけた。


「え,どうして?」
「この前の道って,あんまり往復する人いないんだよね。この先には展望台しかないから。
 なのに,その窓から彼が何度か行き来してるのが見えてね。
 悪いとは思ったんだけど,何か探してる風だったし,気になってね。それで,キミに声をかけて貰ったんだ」


店長の答えを聞いて,彼女は俺の方の見る。言い当てられた俺は仕方なく,頷いて見せた。

「返して貰いに来たんだ,が」
「ああ,悪いな。返せない。写真と一緒に飾らせて貰う。
ここまで辿り着いた意気込みは認めてやるが,俺が作ったのはあんたが食ったんだ。これくらいいいだろう?」
「コラ,お客様に向かってその言い方は」
「いや,構わない」


「捨てられてしまうのが惜しかっただけだから…」

ついそう呟くと,「素直じゃないな」の言葉の後に,こう告げられた。

「これ以上の宣伝見本はないからな」



お世辞にも上手とは言えない,リノアが作った紙製のケーキ。
緑の帽子つきの赤い三角錐がイチゴに,黄緑と橙の耳を持った半月がメロンとオレンジに見えるのは,俺だからだろう。
コイツだって,リノアに一々説明されたから判ったに違いない。
けれど,その一生懸命さ,込められた想いの大きさは十分に伝わってくる。

楽しい 嬉しい 待ち遠しい

そんな幸せオーラが溢れ出てきているような,リノアのケーキ。
それを,余すことなく再現したあのケーキは,まさに会心の作,だった。



「ありがとう。よく出来ていた,…と思う」
「ちょうど雨も上がったみたいですね」
「リノアさんに,お土産はいかがです?店長が作った焼き菓子も美味しいですよ」


店長の声に続いて,商売熱心な店員が,そう勧めてくる。
雨宿りの礼も兼ねて何か買うつもりでいたから,乗ることにした。

「…じゃ,リノアが好きなヤツを」
「かしこまりました。ありがとうございます~!」



完成品の額と共にショーケースの上に飾られた,リノアのケーキ。
陳列を終えた無愛想なハズの職人が思わせぶりに笑ったので,同じ笑みを返してやった。

この店の宝物になったと思えば,手放すのも惜しくはない。
ここにくればいつでも見れるわけだし,あの味を思い出せるのは俺とリノアだけなわけだし,な。

店長と店員が息を呑む音が聞こえたが,当然無視する。
リノアが言う程には,俺の笑顔に魅力も威力もないハズだし。



動きが止まっている店員の手から包装済の焼き菓子を取ると,職人はそれを差し出しながら言った。
「そう言えば,まだ言ってなかったな」


ドアベルを鳴らして,店を出る。
「ありがとうございました」の代わりに「お誕生日おめでとう」の声に送られて。





***


うpしてみたら。
このシーン全部いらない気がしてきたにゃ~○rz

でも代案が浮かばな(ry

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