はるかのだいありぃ

「お誕生日おめでとう！スコール」
「…ああ。ありがとう」

リノアが“頑張った”甲斐が伺える，彩り良く並べられた料理。
自分のこと以上に嬉しそうに，くるくると動き回るリノアを見ながら
湧き上がってくる寂寥感を抑えるのに苦労していた

-----やっぱり，ちゃんと見ておけば良かった…







初めてそれを見かけたのは，リノアの部屋だった。
滅多に訪れない彼女の部屋。片付けられた机の上に残された，紙片。
ハサミで切られたらしいそれが，何の形を抜き取った後なのか
-----元々，工作に関しては“天才”的な腕前なわけだし
彼女の支度が出来るまで眺めていたが，“凡人”な俺には遂に分からないままだった





次に，それらを見たのは自分の部屋だった。
ベッドの上に，覚えのない細かい，しかも様々な色の紙片が落ちていることに気づいた。
道理で背中に何か違和感があると思った
いや，俺よりリノアの方が痛かったんじゃないのか？
よく見れば机や床に，接着剤を拭き取ったような跡もある
一生懸命さは認めるが。後でもう一度拭き取らないとダメだな


「スコール！わたしがやるから！シャワー浴びてきてっ！！」

浴室から飛び出してきたリノアは，俺が持っていた紙片ごとシーツを奪い取ると，胸の前に抱え込んだ。
バスタオル一枚しか身に纏っていない状態で飛び出してくる程，切羽詰まった事態なのか？
その時にもう少し深く追究しておけば良かったのだが。
バスタオルの中身の方に意識を持って行かれてしまった辺り，俺も未だ青いって事なんだろう





最後に見たのは，自分の部屋の，滅多に開けない扉の奥だった。
そういえば，SeeDになってから初めて開けたのかもしれない。以前の部屋で使っていた物が入っている扉だから。
自分的にあの中に入っている物は≪いつか捨てなければいけない物≫で，残してあったのは感傷ではなく単に整理するだけの時間がなかったからに過ぎない。
だから，扉を開けた瞬間に，その中が≪宝物置き場≫になっていたのに驚いた。

子供の字で書かれた名前入りの文房具が，テーマパークの名前入り缶の中に綺麗に納められているし
同じ名前入りの教科書には，付けた覚えのない付箋がついている。
リノアが参考書代わりに使ったんだろう。
そう言えば彼女は編入試験を受けて入ったから，初等部の授業は受けていない。
基礎的な事はSeeD（俺たち）から学んでいるんだろうが
俺から見ても，他校出身のアーヴァインやセルフィの言動が理解できない事があるし，基礎中の基礎はやはり教科書が一番って事なんだろう。

そんな事を思いながら≪リノアの宝物≫を眺めていると，その奥に“謎の工作物”が置いてあるのに気づいた。
万が一にも壊すわけにはいかないから，取り出して見てみることはできない。
でも少しでも動かしたら壊れそうな，絶妙なバランスを保っているコレを，どうやって出し入れしているんだろう？

白い，---花か？が付いている白い円柱の上に，緑の帽子つきの赤い三角錐。橙色と黄緑色の半月，…

唐突にそれが≪色々な果物がのった，花で飾られたケーキ≫だと解ったのは，曲がりなりにも俺がリノアの工作物を見慣れていたからだろう
工作物の正体がわかった後は，当然のことながら次の疑問が浮かんだ

-----なんのためのケーキだ？

自惚れかも知れないが，俺の為に作ってくれているのか？…でも，誕生日まではまだ２ヶ月以上ある
そして初めてあの切り抜きを見たのは，更に２ヶ月くらい前だった気がする
いや，あの切り抜きがこの黄緑色の半月-----今なら目の錯覚も手伝ってメロンの切り身に見える-----になるまでに，２ヶ月かかっていると思えば，決して早くはないのかもしれない
だとしたら２ヶ月後。完成品をじっくりと見せて貰えばいい
リノアが“頑張った”甲斐になんてまるで気づかない素振りで，受け取れるまで待つことにするか



***


コレでword１ページちょい分（60行位）
で。今7ページ目書いてるトコ。お…おかしいなこんな長くなるハズじゃ（汗


子供スコールの字で名前が書かれた教科書に，子供スコールの字で覚え書きなんて書いてあったら。
それって絶対≪宝物≫ですよね！
オトコノコにはわかんないんですよね，こーゆー感覚って
とゆーワケで，付箋は“お勉強”してたワケじゃなく，スコールのメモが書いてあるトコに付いてるんですよ
さすがのスコールもそこまでは考えが及ばなかったってコトで（苦笑



で。ワタシ的にこのくらいならオモテ的にセーフだと思うんですが。…ダメ？（汗
なんて書いてたら24日も終わってしまったぁああっっ（絶叫